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2009-06-20

銀座「古拙」

音にきく修善寺「朴念仁」の東京再出店の銀座「古拙」にお邪魔した。ミシュランの星がついているらしい。そのせいか夜はなかなか予約がとれない。ということで、お昼に伺う。銀座と言っても京橋のちょっと先、乱暴だがホテル西洋と歌舞伎座のちょうど間ぐらいにある。確かにわかりにくい場所にある。しかも地味なビル(?)の2階。まずはこの佇まいからして敷居の高さを感じてしまうのは庵主だけではなかろう。お昼は蕎麦だけの単品はなく1,600円程度からのセットメニューのみのようだ。蕎麦膳を頼み、もり蕎麦を選択。
麺の切り幅は通常の多分半分程度。ほとんど素麺なみの細さである。上品な笊の中心にこんもりと盛られている。麺だけをいただく。これだけの細さに切るには相当な熟練が要求されることであろう。しかも、その細さにもかかわらず、抜群のコシと口中でパァっと広がる蕎麦粉の風味。間違いなく麺だけで1枚ぺろっと行けそうな出来栄えである。極端な細めんの故、当然のことながら麺と麺の間に多めの水分が残ることと、盛り方があまりに無造作であるが故に麺を適当な量に取り分けるのが難しいのがちょっと残念。できれば、ちょぼちょぼに分けて盛ってもらいところだが、この細さでは茹で上がった時点ですでに麺が絡み合っていてそれを解(ほぐ)している間に麺がクタクタになってしまうのであろう。
半分ぐらい食べたところでつゆを試してみる。ここもやはり当世流と言うのか極端なまでに出汁が先行したつゆ。色は黒い割りにかえしの粘りが感じられない。みりんのアルコールを飛ばし、三温糖をもうこれ以上は溶けないというところまで溶かしたときに生まれるかえしの粘り。あの「キャラメル」の粘り感みたいなものが、もう少しあった方がしっかりと麺に絡み、蕎麦の風味と解け合うのではないかと愚考する。
蕎麦膳についてきた小鉢はいずれも美味。このお出汁はこうした和食にこそぴったりのお味である。
ミシュランもおそらくはプレーンな「蕎麦屋」としてではなく、店内の凛とした雰囲気、上質の蕎麦と和の贅を尽くした酒肴の数々を高く評価したものであろう。
神田「石井」時代には行きそびれてしまったが、どんなお店だったのか今になってふと知りたくなった。

銀座「古拙」 中央区銀座2-13-6  03-3543-6565


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プロフィール

瑠璃松(無住庵 庵主)

Author:瑠璃松(無住庵 庵主)
蕎麦屋案内サイト「蕎麦三昧」庵主が伝統芸能(文楽、能楽、歌舞伎、長唄など)と歴史と文化の国「イタリア」について熱く語ります!
蕎麦に関する記事は拙ブログ「そば処探訪 名店の今昔」に転載、新しい記事もそちらにアップして行きます。

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